たくさんのフットボールと少しの何か。

2017/10/17「たくさんのフットボールと少しの何か。」に写真を加えました。

2017 Jリーグ

J1昇格プレイオフ勝戦で今シーズンの日程も終了した。J3の最終節がその試合の前にあり、栃木のJ2復帰と群馬のJ3降格が確定。

そして新シーズンの最後の枠、J1昇格が名古屋に決まった。前日のJ1優勝とJ2降格決定に引き続き、例年のことながら時間の流れも考えたうまい演出、盛り上げ方である。

さて、わがジュビロ。今年は躍進、6位で終えた。予算から鑑みても健闘したと思う。

そして改めて苦しんだ昨年の経験を上手に活かした結果でもあると思う。J1最少失点は誇っていいと思う。特に昨年ここぞ!というときに点を取られまくり、勝ち点を失っていたことを考えると大健闘である。

高橋祥平の補強は的確だった。そして森下の成長も大きかった。その森下もそうだが、DF陣だけで守備ができるわけではなく、前線からの献身的な守備も光り、どのポジションの選手もデュエル勝利率が格段にあがったと思う。

J2で1対1で勝ちまくり、昨年「殆ど」通用しなかったアダイウトンも覚醒。カウンターの核として相手チームの脅威になったが、特筆すべきは彼の守備への貢献だ。奪われてもすぐに第一DFとなれる俊敏さ、体の強さがどれほどチームの失点を防いだか。

そしてムサエフ。改めて服部強化部長ほかのスカウティングの正しさに感心する。誰もがさしたる輝かしい実績もないウズベキスタン人には期待はしていなかった。しかあし!全く非の打ち所のないボランチであった。ある意味チームに溶け込んでいる点を勘案すればドゥンガ以上だったとも言える。

札幌でも結局得点能力の高さを証明したジェイを放出して獲得した川又。アダイウトンの覚醒そして彼との相性というか、コンビネーションを「考えられる」FWとしての能力は得点以外の要素も含めてジェイ以上であった。若手の有望株小川が大けがを負ったこともあり、試合にこの二人が出続けられたこともよかった。

最期は中村俊輔である。前にも書いたが去年のマリノス戦。彼一人に中盤を支配されケチョンケチョンにされた。そして、小林佑希移籍後は中盤で誰もボールを落ち着かせることができなくなって後半戦の失速を招いた。年齢やら怪我勝ちということがあっても疑問のない補強であった。

果たして、結果は期待を大きく上回るものだった。39歳という年齢でしばしば出場選手中最長の走行距離を記録し、大きな怪我無くシーズンを過ごせたのは大収穫だった。彼によりアダイウトンの特長が活かされ、守備のバランスが保たれた。何しろ相手の攻撃の展開が読めてしまうのだから。そして、止まったボールを蹴る技術である。直接決めるFKもそうだが、味方に合わせるFK,CKも出色である。そしてとにかくチームに与えるその存在の「安心感」だ。急がなくてもよいところでボールがキープできるからチームを落ち着かせることができる。これができなくて去年は終盤持ちこたえられないゲームが頻発した。川辺は広島に戻ることなってしまったが、俊輔の近くにいて成長が見られたし、個人的には上原の伸びは想像以上だった。おかげで川辺の穴は小林佑希が抜けた穴よりはかなり小さくて済みそうだ。

監督の名波。脱帽だ。我儘な?選手時代の記憶から想像もできないリーダーシップ、兄貴ぶりである。フィールドを俯瞰してみることができる数少ない天才の一人であるから、監督としてもゲーム展開が手に取るように分かるのだろう。試合中のライン際からの指示はまるで現役の時(むしろそれ以上)のようだ。手駒はまだ足りないから交代選手でそれほどの切り札はいない。その代わりスカウティングとゲーム中の修正能力の高さでシーズンを乗り切れた。

満足できる結果が伴い、フロントも一時期の会社員感覚から改善して現体制継続が早くから保証されている。来年も名波に選手は迷いなくついていけるだろう。そして、今季賞金は得られなかったがほぼ毎試合チケット完売だったことも考えると、去年よりも多めの補強資金は確保できているのではないかと思う。びっくりするような大型補強も悪くはないが、徐々に順位を上げていって2,3年で優勝を争えるレベルに戻して貰えたら個人的には嬉しい。二度とJ2に落ちてもらいたくないし、見たいのは強いジュビロなのだから。